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日産婦誌 第64巻第1号―最新
学術講演会抄録集 第64回―最新
日産婦誌 学術講演会抄録集 1949年-2011年

学術講演会抄録集 検索結果 第64回―最新

開催年 回 タイトル 著者名 本文
一般演題75
末梢血NK活性高値は不育症の予知因子とならないが補体C3高値はなりうる―大規模コホート調査より―
片野 衣江, 杉浦 真弓, 尾崎 康彦, 鈴森 伸宏, 北折 珠央
名古屋市立大
【目的】我々はかつて末梢血NK活性高値が不育症の危険因子であることを報告し,その後否定的な報告もあったが,日産婦不育症小委員会が系統的検査のひとつとして推奨したため,現在でも多くの施設でその測定が行われている.また補体C3についても危険因子であることを以前報告したが,いずれも大規模調査は行われておらず,今回不育症の危険因子となるかどうか明らかにすることを目的として調査した.【方法】倫理委員会の承認を得て2~12回の流死産既往のある不育症患者1127名における妊娠前のNK活性,補体,セロトニン他などの各種検査末梢血測定値および患者年齢,既往流死産回数,生産歴,転座染色体異常,子宮形態異常,予防的入院の有無の各種因子とその後の妊娠帰結についてロジスティック回帰分析にて統計的検討をおこなった.【成績】NK活性は年齢と弱い負の相関があり活性高値は不育症の危険因子ではないことが判明した.年齢,既往流死産回数,子宮形態異常は不育症の独立危険因子であった(ROC AUC値0.616).補体C3値とセロトニン値を加えた5因子のモデル(n=384)ではC3上昇が危険因子であることが判明した.ただしこのモデルのROC AUC値は0.671であり,不育症に関与する他の因子の影響が大きいことも判った.また予防的入院に関してはその後の生産に対する効果は認められなかった.(OR=0.931)【結論】末梢血NK活性値は不育症の危険因子とはなりえかなったので,これを測定し治療評価として用いるべきではない.また補体C3値が不育症の予知因子となりうることが判明した.不育症の25%は原因不明であり,今後,補体系に着目する必要がある.
2013年 第65回