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日産婦誌 第64巻第1号―最新
学術講演会抄録集 第64回―最新
日産婦誌 学術講演会抄録集 1949年-2011年

学術講演会抄録集 検索結果 第64回―最新

開催年 回 タイトル 著者名 本文
一般演題75
着床障害に対する不育症的検索の必要性
杉 俊隆
杉ウイメンズクリニック不育症研究所
【目的】良好胚を何度移植しても全く妊娠しないか,もしくは生化学的妊娠で終わってしまう着床障害患者の扱いは,意見の分かれるところである.アメリカ生殖医学会は,抗リン脂質抗体(aPL)はIVF成功には影響しないという見解であるが,アメリカ生殖免疫学会はその様な結論を出すのは早急であるという見解である.我々は既に,不妊症患者においてaPL陽性者が少なからずいる事,陽性者の卵胞液にaPLが存在する事,卵胞液中のaPLはIgGのみで,IgMは無かった事,aPL-IgGは受精率を低下させた事などを報告した.その上で,着床障害患者の不育症検査結果を検証してみた.【方法】2009年5月以降,当院を受診した,良好胚を移植しても生化学的妊娠を繰り返す着床障害と考えられる不妊患者(n=158)に対してインフォームドコンセントのもとで不育症検査を施行した.【成績】着床障害患者群でも,aPL,第XII因子欠乏,プロテインS欠乏などが高頻度で見出され,不育症患者群に非常に類似したリスクファクターの陽性率が得られた.着床障害症例では,不育症患者同様,卵胞液中には存在しないaPL-IgMの陽性頻度が高く,また,aPL以外の凝固異常も不育症と類似した頻度で確認され,受精障害と着床障害における機序は異なる様である.生化学的妊娠は,流産とは異なるとは言え,繰り返した場合は,不育症として扱うべきなのかも知れない.【結論】着床障害は,不妊症と不育症の挟間にあり,どちらの領域なのか不明であったが,不育症の領域に近い事が示唆された.しかしながら,アスピリンやヘパリンなど,従来の不育症の治療をそのまま不妊症に行なう事は不適切であり,新しい治療を開発する必要がある.
2013年 第65回