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日産婦誌 第64巻第1号―最新
学術講演会抄録集 第64回―最新
日産婦誌 学術講演会抄録集 1949年-2011年

学術講演会抄録集 検索結果 第64回―最新

開催年 回 タイトル 著者名 本文
一般演題17
バイポーラー電極を用いた子宮鏡手術における,潅流液による容量負荷の危険性の評価
山田 卓博, 市川 義一, 根本 泰子, 池ノ上 学, 磯部 まり子, 服部 政博
静岡赤十字病院
【目的】バイポーラー電極を用いた子宮鏡手術では,潅流液に生理食塩水を用いることができるために低Na血症の危険性はないが,潅流液が静脈内に逆流することによる容量負荷の危険性が指摘されている.しかし子宮内を潅流した液が腟からこぼれ出すため,容量負荷の正確な測定は困難であった.そこで腟からの廃液をほぼ完全に回収する方法を考案し,手術時の容量負荷を実測し,それが生体にもたらす生理学的変化を評価することで,容量負荷の危険性を推察することを目的とした.【方法】滅菌ドレープの上に医療用に滅菌されたビニールを貼付し,腟口に合わせて小切開を加え,それを通してクスコ式腟鏡を挿入することで,潅流液をほぼ完全に回収できた.当院で子宮鏡手術を施行した症例において,使用した潅流液と回収した廃液の差から,手術時の容量負荷を測定し,手術前後の血液データを比較し,電解質バランスの変化や血液希釈の程度を評価した.【成績】子宮内膜ポリープまたは子宮粘膜下筋腫にて子宮鏡手術を施行した8症例を検討.手術時間は平均65分(19分~150分).潅流液による容量負荷は,平均457mlで,手術中の輸液量と尿量の差による負荷も加えると平均791mlの容量負荷がかかり,最大で1620mlの容量負荷のかかる症例もあった.術前後の血液検査の比較では,いずれの症例も電解質バランスの変化や血液希釈の程度は統計学的には有意な変化はなく,心不全や肺水腫の徴候を呈する症例も見られなかった.【結論】バイポーラー電極を使用していても,潅流液の血管内流入による容量負荷が生じており,手術中も継時的に水分の出納を評価することが大切である.
2012年 第64回