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日産婦誌 第64巻第1号―最新
学術講演会抄録集 第64回―最新
日産婦誌 学術講演会抄録集 1949年-2011年

学術講演会抄録集 検索結果 第64回―最新

開催年 回 タイトル 著者名 本文
一般演題90
急激な転帰を辿った子宮体部小細胞癌の3例
井関 隼, 市川 義一, 江河 由起子, 坂堂 美央子, 根本 泰子, 服部 政博
静岡赤十字病院
婦人科領域における小細胞癌は子宮頸部に最も多く見られるが,子宮体部にも原発し,極めて稀な疾患で予後不良とされる.今回我々が経験した子宮体部小細胞癌3例は,いずれも精査・加療中に急激な転帰をたどり死亡に至ったため,その病態ならびに経過を報告する.【症例1】51歳,2妊1産.全身倦怠感を主訴に受診,肝機能障害と悪性腫瘍の多発肝転移を認め,子宮筋層内にも充実性腫瘍疑われ子宮内膜細胞診ではclassV(小細胞癌)であった.精査中に肝性昏睡,DICが進行し初診後11日にて死亡に至り,病理解剖により子宮体部小細胞癌(stageIVB T3bN1M1)の診断となった.【症例2】69歳,1妊0産.性器出血持続のため受診,子宮頸部細胞診にてclassIIIb,small cell carcinoma疑い.術前に外傷性クモ膜下出血を発症し,縮小術式ETH+BSO+OMTを施行し,術後診断は子宮体部小細胞癌(stageIVB T3bN1M1)であった.CPT-11+CDDP(IP)療法を施行したが,2コース開始後に脳幹梗塞を発症し,死亡に至った.【症例3】70歳,2妊2産.性器出血を認め受診,子宮内膜組織診により小細胞癌と診断し初回手術施行.子宮体部小細胞癌(neuroendocrine tumor)(stageIIIC1 T3bN1M0)と確診に至り,IP療法を施行した.術後6か月で腫瘍マーカーの著増と肝転移増悪及び骨転移を認め,IP療法を5コースで中止し,骨病巣に対して放射線治療を開始したが著効せず全身状態の悪化と黄疸が出現,多発肝転移の急激な増大と肺転移が進行し死亡に至った.子宮体部小細胞癌は予後不良な疾患として知られるが,ごく短期間で転移が増大するなどして,急速な病態悪化のため急死に至ることを想定した上で診療にあたる必要があると考えられる.
2016年 第68回