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日産婦誌 第64巻第1号―最新
学術講演会抄録集 第64回―最新
日産婦誌 学術講演会抄録集 1949年-2011年

学術講演会抄録集 検索結果 第64回―最新

開催年 回 タイトル 著者名 本文
一般演題151
卵巣癌による肺腫瘍塞栓微小血管障害(pulmonary tumor thrombtic microangiopathy:PTTM)の1例
中野 正明, 横山 貴紀, 佐々木 晃, 山崎 友美, 中村 紘子, 澤崎 隆, 水之江 知哉
呉医療センター・中国がんセンター
肺腫瘍塞栓微小血管障害(pulmonary tumor thromboticmicroangiopathy:PTTM)は,単なる腫瘍塞栓ではなく,それを契機として局所的に凝固が亢進し,血管内膜の肥厚,肺高血圧,溶血性貧血,播種性血管内凝固症候群などを呈する悪性腫瘍の臨床像で,卵巣癌に合併することは稀である.我々は急速に進行した卵巣癌によるPTTMを経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は44歳女性で腹痛にて近医を受診し卵巣癌の疑いで当院紹介となった.初診時の超音波検査では両側卵巣腫大と少量の腹水を認めた.血液検査では貧血と肝機能異常,腫瘍マーカーはCA125:1274,CA19-9:874と上昇がみられた.CTおよびMRI検査では左卵巣は6cm,右卵巣は4cmと腫大しており,播種性結節を伴う癌性腹膜炎が疑われ,原発性卵巣癌,肝転移,胸膜転移の可能性も示唆された.初診から11日目に呼吸状態の悪化がみられたため同日より入院管理となった.SpO2は低下しておりO2の投与を必要とした.入院後の胸部CTで癌性リンパ管症や肺転移が疑われ,腹水細胞診では低分化型腺癌の細胞を認めた.癌性リンパ管症の治療目的で化学療法を開始したが呼吸状態は悪化の一途をたどり,O2投与量を15Lまで増量するも酸素化の維持は困難であった.その後全身状態の悪化により化学療法の継続は困難となった.呼吸状態の改善を図る目的でステロイド療法を行ったが症状は改善せず,初診より26日目に呼吸不全にて永眠された.剖検にて両肺の広範囲に血管内皮線維性肥厚及びフィブリン血栓を伴う腫瘍塞栓を認め,PTTMと診断された.
2014年 第66回