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日産婦誌 第64巻第1号―最新
学術講演会抄録集 第64回―最新
日産婦誌 学術講演会抄録集 1949年-2011年

学術講演会抄録集 検索結果 第64回―最新

開催年 回 タイトル 著者名 本文
一般演題150
子宮内膜症性卵巣嚢胞摘出術後に卵巣癌を発症した3症例
中川 圭介, 佐川 義英, 古村 絢子, 鮫島 大輝, 寺田 光二郎, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中江 華子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大ちば総合医療センター
【緒言】子宮内膜症性嚢胞を経過観察した場合,これを発生母地として卵巣癌が出現する割合は0.7%程度と言われており手術が推奨されているが,卵巣子宮内膜症性嚢胞の切除後にも数年後に新たに同側卵巣より卵巣癌が発生することも最近知られるようになってきた.今回我々は良性あるいは境界悪性内膜症性病変術後数年経過して癌を発症した3症例を経験したので報告する.【症例1】32歳未経産婦.両側子宮内膜症性卵巣嚢腫を指摘され手術施行,右卵巣異形子宮内膜症(当時)であったが挙児希望強いため腹式両側卵巣嚢腫摘出術のみとし,妊娠,分娩を経た6年後に右卵巣腫瘍が再発し再手術施行,迅速診断では子宮内膜症性境界悪性腫瘍であったが,術後病理組織診断では類内膜腺癌であった.【症例2】36歳未経産婦.左子宮内膜症性卵巣嚢腫破裂による急性腹症にて腹腔鏡下左卵巣嚢腫摘出術を施行.当時の術後病理所見には異形細胞認められなかったが,3年後に左卵巣明細胞癌が出現した.【症例3】36歳2回経産婦.右卵巣子宮内膜症性嚢胞のため腹腔鏡下右卵巣嚢腫摘出術施行.病理組織診断は良性の子宮内膜症性嚢胞であった.10年後に左卵巣明細胞癌が出現した.【考察】子宮内膜症が卵巣癌の発生母地となる根拠としては,同一検体内に内膜症性病変を背景に境界悪性から悪性病変が認められることであるが,今回の報告例は継時的にそれを示唆しており,特に症例1は境界悪性病変を介して癌に移行することを示している.当科で施行した全内膜症性嚢胞摘出手術(1998年~2012年)は554件であり,術後卵巣癌発症率は約0.5%と計算された.これらの症例を比較・検討し,文献的考察を加えて報告する.
2014年 第66回